なぜ私はあまりものを語らないのか

 私は人の話に口をはさむのをよしとしない。自制している。家族に対してもあまりものを言わない。よくないことだと思う。なんでも話をするのが家族であると言われれば胚その通りですと頭を下げるしかない。
 私は比較的人の話の矛盾に気づいてしまう。人の話なんて実は矛盾だらけだ。実際の会話の現場ではいちいち細かい論理関係、前後関係に気にすることなく話が進んでいくことも多いだろう。そしてそれをあえて指摘せず、相手の言いたいことをくみ取るのが大人というものか。いや、正確には日本人というものか。
 しかしそれでも私は矛盾に気づく。それを言っちゃあおしめえよ、と思う。だから容易に口を出せないでいる。
 これが仕事の場であるならば容赦なく相手の矛盾を突く。しかし相手がそうでない場合、矛盾を指摘すれば無駄にぎくしゃくしてしまう。
 そこの折り合いをうまくつけることができない私は、対人関係構築の基本がなっていないということなのだろう。これははてさて生得のものか。