私たちのセックス

 私たちはいつも自由奔放に愛し合った.周りは全然見えていなかった.友人達で集まった飲み会の席でも隣同士に坐り,テーブルの下では手を握り合い,脚を絡ませ,ももをなでさすっていた.化粧室でキスをしたこともある.いや,それどころか,互いを舐めたこともある.
 ホテルに行くと,私たちはいつもその時点で準備完了だった.服の脱ぐのももどかしく,上は着たままで,まずは挿入した.私たちには前戯は不要だった.濡れ,勃っていた.お互いがつながりあって,確認をしてから,キスをした.互いを舐め,愛撫した.乳首を責め,責められるのが二人とも好きだった.右の乳首の脇にはいつも短い毛が生えていた.そこにだけ生えていた.私はそのことをずっと黙っていた.耳を責め,責められるのも好きだった.足の指をなめられると激しくもだえた.
 一度,二人とも酔っ払って,何か羽目を外したい気になったことがあった.普段以上に何か恥ずかしいことを.おしっこをしてみようか,と私が誘った.結合したまま二人でトイレに向かい,結合したまま私が下になって坐った.そして,私一人がそのまま坐り続け,あちらは立って私を見ていた.少しずつ,細く,恥ずかしげに,おしっこがほとばしった.
 私たちはほとんどいつも生で愛し合った.そしてたいてい,口の中で果てていた.「もうない」「ううん,まだある」
 あそこを舐められるのはやはり恥ずかしかった.見られるのも恥ずかしかった.「僕のをいつも見て,舐めてるじゃないか」「それはいいの」
 大人になってからだが固くなったと思っていたが,セックスの間だけは二人とも体が柔らかかった.どうしてこんな体勢で結合することができるんだろう.そして,動くことができるんだろう.結合したままベッドの上を這いずり回り,部屋の中を歩き回った.ホテル高層階の部屋の窓に手をついて,夜景を見ながら愛し合った.